「60歳からの知っておくべき経済学」高橋洋一

1.本書を手に取った経緯

 YouTubeで著者の名前を目にする機会が増えた。「103万円の壁」の引き上げが上手くいかないのは「ラスボス宮澤洋一(自民党税制調査会長)」のせいだ」、「日本は財政破綻しない」など(少数)与党や財務省へ厳しい意見を突き付けている。著者は元財務官僚であるが、なぜ財務省および与党と意見が食い違うのかを知るべく著書を手に取った。

2.内容

 日常的に紙面・テレビに出てくる政治・経済の話題を網羅している。おもに以下の論点について、「経済学の基礎」を元に著者が解説している。わたしは多少経済学を学んでいたが一部理解に時間がかかる部分もあった。
※()内は著者の主張。詳しくは本書を通読ください。

・財政破綻論(破綻しない)
・最低賃金引き上げ論(失業率を増やしかねない)
・格差・貧困論(?)
・年金破綻論(破綻しない)
・少子高齢化危機論(問題ない)
・人口減少危機論(問題ない)
・消費増税必要論(消費増税は景気にマイナス)

 世間でもっともらしく言われている見解に対し、経済学の原理原則、他国との比較など資料を用いながら誤りを指摘している。

 またYouTubeなどのインタビュー通り、本書においても財政破綻を煽る黒幕は、天下り先確保に躍起になっている財務省であるときれいに断罪している。また、この横暴を政治家やマスコミが見て見ぬふりをしている理由についても言及している。

3.その他

 多少経済学をかじっていた身としては、マルクス経済学、リフレ、MMTの概要が勉強になった。

 また著者の景気対策の骨子は金融政策がメインである点についても理にかなっていると感じた。

 財務省、自民党が消費増税にこだわる理由である「横断性条件という経済モデル」は著者が「説明が難しい」と言い説明が割愛された。「要すればプライマリーバランスの黒字化で国債を完済しなければならない」という結論が示されるにとどまったのはやや物足りなかった。

 また、「国債がこの世からなくなると・・」の章では、国債が単なる政府の負債や投資対象という意味だけでなく、金融市場において中継取引に必要であるという説明は興味深かった。

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