「入門 犯罪心理学」原田隆之

金融機関の金融犯罪対策グループに所属しており、周辺知識の習得のために手に取った。犯罪心理学を直感的や表面的ではなく、数値の裏付けをもって俯瞰することのできる、有用な一冊であった。統計的な因果関係や相関関係の分析手法を用いて、数字の裏付けのある原因や対処法の分析がなされており、その他の社会学関連を研究するうえでも参考になるものであった。

犯罪者のパターン:
「青年期限定型」と「生涯継続型」がある。
「青年期限定型」は、褒められるものではないが、若者が一度は通る道のものとして、ある程度許容できる範囲のものが多い。そのため、「少年の健全育成」を目的とする少年法が存在する。
「生涯継続型」の犯罪は、正常とは言い難いものもある。また問題行動の原因は、学習能力などにも限界があることから、家庭などの「外」の環境要因ではなく、「内」にあると考える方が自然である。

「犯罪」とは:
以下の要件を満たすもの。
①構成要件該当性:行為が刑罰法規に規定されている。
②違法性    :正当防衛や緊急避難など違法性阻却事由がない。
③責任能力   :責任能力がある。

犯罪の危険因子(犯罪者とそれ以外の人の特徴で有意差のあるもの)の主要8項目:
①犯罪歴
②反社会的交友関係
③反社機的認知
④反社会的パーソナリティ(共感性の欠如、など)
 ※パーソナリティ:その人の情緒、思考、行動などの比較的安定した傾向
⑤家庭内の問題
⑥教育・職業上の問題
⑦物質使用
⑧余暇活用

生物学的犯罪研究:
(注意)重要な点であるが、優生学的思想とは異なる。
攻撃性に関しては遺伝の影響が強い。テストステロンやセロトニンの濃淡に現れる。
攻撃性が高い:テストステロン濃度が高い、セロトニン濃度が低い

レジリエンス:
過去の辛い体験などを克服し、立ち直る力。レジリエンスが備わっているので、「虐待が非行の原因である」とはいえない。

関連性の錯誤:
人間というものは、目立ったいくつかの事柄や、すぐに思いつくような事柄を関連付けて因果関係を想定しやすいという事実。