「現代貨幣理論 MMTとケインズ経済学」永濱利廣

積極財政を進める根拠になるとも言われるMMTの理解は、国政選挙で投票先を決めるために必要不可欠のものと考え本書を手に取った。本書では「ケインズ経済学」と「MMT」がテーマとして掲げられている。

本書では、ケインズ経済学前後の経済学の変遷についても解説があり、経済学の習得にも役立った。絶対王政国家における「重商主義」、対立する「重農主義」、その後のアダム・スミスによる「労働価値説」と価値の源泉の変化について俯瞰。アダム・スミスは自由主義経済思想を持ち、「見えざる手」を唱えた。アダム・スミスの市場原理などを「古典派経済学」とよぶ。「セイの法則」に裏付けられている。

古典派経済学では1929年の世界恐慌を克服することができず、ケインズ経済学が生まれるきっかけとなった。ケインズ経済学は、「有効需要(貨幣的支出の裏付けのある需要)」を発見。有効需要の原理を支えるものは、「乗数理論」と「流動性選好」であり、またそれらは数学的モデルの「IS-LM分析」で示された。

1960年代以降、高失業率・高インフレのスタグフレーションの発生により、「フィリップ曲線」の理論が崩れ、ケインズ経済学の問題点が指摘され始めた。これにより、古典派経済学が復活。大きな政府への批判の高まりから、民営化の流れが大きく進展。サッチャリズムやレーガノミクスにつながった。

MMTを理解するうえでの、貨幣の定義が興味深かった。不換紙幣である貨幣に何故価値が見出されているのか。主流派経済学派の「価値説(みんなが価値があると信じているから価値がある)」はややフワッとした説明であるが、MMT論者の信用貨幣論(貨幣を使って納税する義務があるため、その価値が担保されている)」の方が納得がいく。また貨幣の発行が先で、その後に税が発生する、という流れも「(政府)支出のために、租税収入は必要ではない」という理論につながっていく。

MMTにおける税の役割は、「貨幣価値の維持」、「格差是正」「好ましくない行為の抑制(たばこ税など)」および「公共サービス費用の認識」となる。またMMTは財政赤字を容認しつつも、インフレ率の制約を受けるとした。