「マネーロンダリング入門」橘玲
ACAMS試験勉強中、法令等の抽象的なものの多くが教材だけではわかりづらかったため、副教材として手に取ったもの。結果的には、非常に役に立った上、内容自体もかなり面白かった。
第一章カシオ詐欺事件については、資金管理面など現在では考えられない事件であるが、資金移転(レイヤリング)の怖さは現在でも変わらない部分があると感じた。
第二章プライベートバンク(プライベートバンキング)は、ACAMSでなぜプライベートバンキングがなぜ規制強化対象となるかの具体的イメージが沸いた。プライベートバンクでは容易に匿名での口座保有・金融取引ができ、その背景はどのようなものか、誰がどこで誰と何を行っているのかがよくわかるものであった。
また、いわゆるクロスボーダー取引おこなわずに、複数の金融機関を通じて実質クロスボーダー取引をおこない、海外に資金移転するスキーム(現在は不可能)には驚嘆した。スキームに必要な金融商品「割引債」の商品性も興味深かった。税金先払い、無記名、と現在と異なる点が悪用されていた。暴力団員がこのスキームで100億円も海外に資産隠しを行えていた点についても時代の違いを感じた。
ライブドア事件の錬金術(企業買収と株式分割の繰り返し)にもプライベートバンクが絡んでいたことを知ったが、これはスキーム自体が複雑で理解が及ばなかった。
第三章は北朝鮮に対する金融制裁について話が始まる。金融制裁の具体的内容(北朝鮮はアメリカの金融機関に口座を保有していない中、どのように口座凍結したのか)はまさにACAMSの米国愛国者法の具体的事例であり、抽象的な知識が身についた瞬間であった。また、SWIFTとアメリカ捜査当局のやり取りも興味深かった。
第四章はもっともショッキングな内容であった。バチカン市国が資金洗浄をおこなっていたこととその背景。貧困層を救うことを理念に掲げ設立されたオフショアバンクが経営破綻を避けるためか、政治家、マフィア、武器商人のマネーロンダリングに手を染めたことで世界的マネーロンダリング銀行となるさま。テロ組織がどのようにして世界中で資金授受ができているのか(これは現在でもおこなわれているのではないか)。
第五章(最終章)では地下銀行、タックスヘイブンのスキームがよくわかる内容であった。富裕層はその資金力で租税回避スキームを実行しますます富を積み上げていくのであろうが、中間層のわたしは高い税負担率に資産の積み上げを阻まれているため、もどかしさのような何とも言えない感情が芽生えた。
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